田村歯科
 
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食養医療革命 医療に活かす食養療法

−私の考える歯科食養−

 

紹介/田村京生

昭和29年静岡県生まれ。北海道大学歯学部卒、東京医科歯科大補綴科などを経て、昭和60年静岡県磐田郡にて開業。
  当初は補綴学の理想とするバランスのとれた咬合を(口の中)をつくろうと治療に臨んでいた。

 しかし、ほんの少しの咬み合せのずれで病気になってしまう人がいる反面、ひどい咬み合わせでも、いたって健康な人もいる。毎日歯みがきに努力しても虫歯だらけの人がいる反面、ろくな手入れもしていないのに虫歯にならない人もいる。

 数ミクロンの咬み合わせにこだわっていた自分に大いに悩んでいる中で、東洋医学に出会い、自分の治療方向にヒントが見えてきた。
  現在病気にならない体づくりという視点から、通常の歯科治療に加え、東洋医学的アプローチ(経絡治療、気功治療)、食養機能性物質の経口投与など、よりホリスティックに生体エネルギーを高めることに努力している。


  食養という言葉は玄米菜食の世界では広く知られているが、東洋医学的には食養生とも言われ、さらに病気治療に目的をしぼった食事療法を食療とよび、食養と食療を区別して使うことが多い。
  食養法は、まさに病気治しとして大きな力をもっており、本来は食療と言うべきだが、ここでは私も先達の教えにそって、食養という言葉を使わせてもらう。

 食養を考える上で東洋医学と現代医学を比較して考えるとわかりやすい。
  現代医学は人の体や病気の原因を分析的にとらえ、人間をあたかも超精密なロボットと考える。もしそのロボットのパーツがこわれたらそのパ−ツを取り替える。金属に水が入ってサビが生えたら、サビを取り、水をかわかし排除する。

 例を結核という病気で考えると次のようになる。
  現代医学では結核菌という原因を除去することを考える。
  結核菌を殺す抗生物質を与え原因を除去することで病気を治します。

 一方、東洋医学の考え方はこうだ。結核であろうと赤痢であろうと、本来病原菌にうち勝つ力があるべき人の体が、何らかの不調により病原菌に負けてしまっている。そこで、その人の不調を正しい方向に治してあげれば、自然と病原菌にうち勝てるようになる。

 ロボットの例にもどれば、こわれたパーツを取り替えるのが現代医学であり、ロボット全体のバランスを整えて、壊れ難くするのが東洋医学である。
  食養の考え方は、まさに東洋医学的発想のものであり、他の東洋医学的手法と、とても相性がよく、いくつかの東洋医学的療法と併用すると、とても効果が高い。

 ただし誤解を避けるため、ぜひ御理解いただきたいことは、食養と現代医学も大いに併用可能であり、互いのよいところを大いに利用すべきであろう
  最も避けるべきことは、食養のみを選択し、現代医学を否定したり、また逆に医師が食養を否定的に考えたりすることで、このような状況では治る病気も治らなくなってしまう。

 食養も東洋医学も現代医学も目的とするものは健やかないのちであり、互いに何も対立することはない。
  あえて言うならば、病気やいのちに対する認識の形が異なるために、診断や治療法が相異なる。しかし、それらをうまく併用し、互いに協調、協力すれば治療効果は間違いなく倍増するのだ。

玄米菜食のカベ

 食養に関心をお持ちの人は、程度の差こそあれ玄米菜食を経験したり、また今も実践されている人が多いと思います。
  しかし、一般的には玄米菜食者の数はとても少ないのが現状のようです。
  玄米菜食者がその道に入ったきっかけは、さしせまった病気治しであったり、また、家族の方が関心をもったりで、普通の人がたいしたきっかけもなく玄米菜食を始めるというのはあまり例がないように感じます。

 玄米食が体によいということは、多くの人も漠然と知っているのだけれど、実践者となると、グッと数が少なくなる。
  これは玄米食が実生活の上で、とても障害が多いということであり、玄米に加えて菜食となると、ほとんど必死の覚悟でのぞまないとすぐにもくじけそうになってしまう。

 そして守備よく最初のカベをのり切り、玄米菜食を生活の中にとり入れた人々は、次のカベが待っている。
  知らず知らずのうちに友人が減っていき、気がついた時には「あいつは変わり者だし、つき合いも悪い…」という評価までもらっていることになる。
  私自身の例をあげれば、私は歯科診療のなかに東洋医学を利用できないか、あれこれやっているうちに、だんだんと食養の道に迷いこんでしまい、自分でも実践するはめになっていたわけです。

 実際に自分自身が玄米菜食を体験してみると、その威力は驚くべきものがありました。
  持病とあきらめていたがんこな肩コリがグーンと軽くなってしまった。
  一日の診療を終えると身も心もヘトヘトになっていたのが、元気でピンピンしている。
  これらは私にとって新鮮な感動であったが、私が真に驚いたのは別の変化なのです。
  歯科治療に併用して針治療していると、針を打たなくても治療効果が出てしまう。

 治療穴も自然にわかってしまう。
  患者さんの気の流れがわかるようになり、その人を見ただけで悪いところがだいたいわかってしまう……。
  何か自分がとんでもない体になってしまったようでした。
  もちろんそこに至る間には、ヒーリングのセミナーへ行ったり訓練をしたりする経験もありましたが、食養をきっかけにそれらの力が急に強くなった感じがしました。

 これらの変化は自分でも驚くばかりで夢中になって厳格な玄米菜食を実行していました。
  しかしふと気がつくと、知人達から「田村は何か変だ、おかしな宗教に凝っているんじゃないか…」と言われているのに気がつきました。
  実際、酒は全く飲まなくなったし、宴会の食事もほとんど手をつけなくなっていた。そもそも飲み会へはほとんど顔を出さなくなっていた。

 また家庭内でも、みそ汁のダシにすら魚を禁ずる私に家内も相当ノイローゼぎみになっていたようだし、子供達にとっても、肉やお菓子を禁じられることは、かなりのストレスだったようです。
  ある著名な食養指導者が冗談半分に言っていた言葉が急に真実味を帯びてきました。
  「玄米菜食にこだわっていると友人知人を失い、最後にカミさんに逃げられる…」

 その時から、私は厳格な玄米菜食者から、玄米菜食を心がける普通の人にもどったのです。

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簡易式食養法

 玄米菜食には体のバランスを整え、病気を治す大きな力があることは疑う余地はないと思えるが、現代の食生活から見ると玄米菜食を実行するにはかなりの努力が必要なことも、また事実と思えるのです。

 多くの食養研究家たちが、よりおいしく食べる料理法を研究したり、普及に努力していることは素晴らしいことだし、これからも大いにがんばってほしいものだが、一般に玄米菜食を普及させるために、最も必要なことは、その敷居を少しでも低くし、より多くの人にその素晴らしさを体験してもらうことだろうと私は思っている。

 私が歯科治療にとり入れている食養法は敷居を低くし、まずは食養の門を入ってもらうことを主眼としている。
  その上で体の変化を体験できる人には、次のステップを指導すればよいのである。

 

当院の食事指導

1.砂糖の制限

 虫歯をつくったり歯周病でも苦労する人の多くは、たいがい砂糖の摂取量が多い。
  砂糖の害は虫歯に限らず、体を酸性に傾けることになり、免疫力も低下し、自律神経のバランスもくずれやすい。
  砂糖は代謝の過程でもカルシウムを奪うために精神的にも不安定にさせる。
  その極陰性の性質は直接的にも間接的にも心に作用して、一層マイナスを強くしているように感ずる。

 歯科医院で砂糖の制限を示指されると、多くの患者さんはそれなりに納得して多少は努力して下さる。
  お菓子づけのような生活をしている人も、たまにおり、そのような人はお菓子を減らすだけでもずいぶん体が変化する。

2.肉の制限

 砂糖と並ぶ酸性食品の代表であるが、腸内異常発酵という点においても、体にとても負担のかかる食品である。
  また、家畜用人工飼料に含まれる抗生剤、ホルモン剤や、店頭に並ぶ際に使用される発色剤の影響も無視できない。

 患者さんの中には、牛乳を飲めば飲む程健康になると信じて、大量に飲んでいる人がいる。
  妊婦さんの中に、一日牛乳を最低1リットル飲んでいるという人がいたが、これが悲しい現実である。アトピーの子供が増えるわけである。

 肉の制限と、さきほどの砂糖の制限で体はずいぶん変わる。
  その変化を自覚できる人は次のステップへ進むわけだが、往々にして歯の痛みがとれると元の食生活にもどる人も多い。

3.咀嚼の励行

 一口百回の咀嚼という言い方もするが、とにかく食物を口の中でドロドロになるまで噛みつくし、真に味わうといった方がよいだろう。
  咀嚼運動は消化作用としての働きばかりでなく、いのちの水とも言える唾液をたくさん分泌させてくれることになる。

 つまり、(1)抗菌作用(2)抗ガン作用(3)異物の分解(4)若がえりホルモンなどの働きがある。
  また顎をよく動かすことで、脳への血流ポンプ作用もすることになり、ボケ防止、記憶力向上にも役立つ。
  よく味わうという感覚は、脳の一番大切な部分の活性化にも役立つこともわかっている。
  よく噛んでいるとプラクという歯のよごれも自然に減ってきて、虫歯にもなり難くなり、歯周病の予防にも役立つのである。

4.食品添加物、残留農薬などの化学物質の排除

 食品添加物は厚生省により添加基準が定められているが、これらは単独の添加物の基準であり、複数の添加物が生体に及ぼす作用については、全くわからないというのが実情である。

 現在スーパーで売られている加工食品には、ほとんどすべての物に添加物が入っており、まさに大規模な生体実験が行われていると言ってもよい。
  そもそも、人間が何万年という歴史の中で経験したことのない化学物質(添加物)を毎日々々摂り続けるとどうなるか?
  今まさに実験途中なので断定的なことは言えないが、決して好ましくない結果が出るだろうことは容易に想像できる。

5.好ましい食品とは

 基本的には穀物菜食と考えているが、人間の歴史を考えてみれば、私たちの先祖たちが確立してきた伝統食こそ、歴史的検証を経て証明された健康食だろう。野菜、豆、海草、小魚……。「身土不二」の重さが身にしみる。

6.食生活の偏り、現代人の生活の偏り

 経済性を優先した現代の私たちの生活は、本来の人のいのちの営みとは遠くかけはなれている。食事とは栄養補給の行為ではなく、地の気の補給であり、とりもなおさずいのちの補給である。

7.食とはおいしく楽しむもの

 食養は病人のためのものではない。
 食養は耐え忍ぶものではない。
  ケーキ、肉、インスタント食品、ファーストフードなどの禁止食品は、嗜好品と考えて時々楽しんでもいいんじゃないかと思っている。玄米菜食者がたまにフランス料理を楽しんだり、たまにすきやきを楽しんだりすることは最高に素晴らしいことと思っている。

 

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調身、調息、調心そして調食(食養)

 中国で健康法として知られている気功は、気を体のすみずみまで行きわたらせ、病気を防ぎ、健康な体をつくるのに役立つ。
  その気功法の具体的習得法が調身・調息・調心であるが、私はこれに食養を加えたい。
  調身とは不自然な姿勢を正し、ひずんだ背骨を整え、正しい骨格のバランスをつくること。実は体のバランスは歯科治療ともかかわりがあり、かみ合わせのよし悪しでかなり姿勢に影響が出ることがわかっている。
  私が気功や食養に関心をもったのも、実はこのあたりにも原因がある。

 二番目の調息。これは深く長い呼吸法のことである。ヨガなどでも広く行われているが、呼吸法を習得すると、単に酸素摂取量が増加するばかりでなく、自律神経のバランスが整い、さらには自身の中に眠っていた潜在能力が呼び醒まされる。

 三番目の調心。これは心を整え、悩みやストレスから開放された、何にもとらわれのない心を保つこと。
  瞑想がこれにあたるが、現代医学における心理療法、イメージ療法などもこれに通ずるものがある。

 これらの「調身・調息・調心」を習得していくと気の流れを自分でコントロールでき、健康を維持できると言われる。
  しかし、これら「調身・調息・調心」を説いた古代中国には、食品添加物もなければ化学肥料もなかった。日の出とともに起き、日没とともに眠り、その土地で産する物を食し、自然と調和して生きてきた。

 身土不二そのものの時代だったのだ。気功法の調身・調息・調心は、現代ではこれに調食(食養)を加えなければ、不完全なのだ。
  私は自分自身の体験や患者さんたちの経過を見て(気功的)健康法の秘訣として、ぜひ調身・調息・調心をして調食(食養)と称えたい。

 

不自然な食養は不健康

 さきに自分の体験として述べた通り、私は厳格な食養を半年程であきらめ、今は無理のない食養を心がけている。

 自宅の食事は原則として玄米菜食ですが、魚、特に小魚はよく食べます。
  味噌汁は煮干でだしをとり、オーサワの味噌を使ったものが一番旨い。
  たまの休日には子供たちと一緒にスーパーへ行き、買物のついでにお菓子やアイスクリームを買ってくることもあります。家にもどってから家族全員で大騒ぎをしながらお菓子を食べます。

 仕事で会合や宴会に出ることがあります。そこでの食事はだいたい何でも食べます。でも残す物もあります。まずい物です。不自然な人工的な味のものは食べる気がしないからです。お酒も飲みます。友人と談笑しながらのお酒は、おいしく楽しいものです。

 旅行に行くと旅先で名物料理が出ます。旅先での御馳走は楽しいものです。ワクワクしながら全部食べてしまいます。こんな具合で私の生活の中には不養生不摂生がたくさんあります。でもこの不養生をとり除いたら私のストレスは増すことでしょう。

 お菓子を食べた時の菓子のマイナスエネルギーとその時の心の満足度(プラスエネルギー)。
  その二つのバランスが大切だと考えます。
  お菓子を毎日大量に食べることは禁ずるべきですが、お菓子が大好きならば少量をよく楽しんで食べればよいわけです。
  菓子のマイナス分と心のプラス分を考えれば、差し引きプラスとなりましょう。
  食養面から見れば禁止食品の最たる物の酒やタバコなども、節酒・節煙は必要なことですがその量と状況を考えればかたくなに禁ずることが必ずしも最善とは言い切れないと思います。
  健康にとって食養はとても大切なことですが、健康をささえているのは食だけではありません。
  さきほどの気功式に言えば、身と息と心とのバランスが大切なのです。各々の要素のプラスマイナスの総和が人の健康を決めているのです。

 

食養が教えるもの

 食養法の本質は人のいのちとは何か?天地自然の理とは何か?といった実に哲学的で深淵なことのように思います。
  その教えを、私のような者が語ることはとてもできませんが、少なからず私たちの生き方に光を示してくれているように思います。
  食について言えば、かつて私は、人間にとって食事は単なる栄養補給の行為だと考えていた時期がありました。

 しかし、それは明らかな間違いであり、食とは天の気、地の気の補給であり、また同時に人の手をかければかけるほど、その食のエネルギーは高まるのです。
  農家の方が丹精込めて作物をつくり、商店の方がおいしいものを売ろうと努力し、母が愛を込めて調理し、それを食べる者は感謝の念をもっておいしく味わった時、エネルギーは最高になり、素晴らしくおいしい食となるのである。
  しかし、現代の食は大きな経済構造の中に完全に組み込まれており、そこで求められることは、便利に!簡便に!口あたりよく!見た目よく!大量に消費すること!

 そのために農家では大量に農薬や化学肥料を使わざるを得なくなる。加工業者は保存料や着色料を使用する。
  そして、選別眼を失った消費者は見た目だけよい偽物食品を毎日食べることになり、次第に健康を害っていく。

 目を住宅に向けても同様である。
  汚れず長もちするホルマリンビニールクロス。絶対ダニのわかない防虫タタミ。20年間白アリが入りこめない殺菌柱。四季を通して一定温度一定湿度を保ち、風の入り込めない高気密住宅。
  一見便利そうで快適そうに見えるこうした住宅も、人も健康を蝕む悲しい館であることがわかってきた。

 誰もが幸せを願い、健康を願い、平和に生きたいと思っているのに、現代社会に適応すればするほど、不健康でストレスだらけの生活にはまっていく。
  もっと便利に!もっと豊かに!の大号令の中、社会全体で食を乱し、住を乱し、人の健康を乱し、環境を乱している。

 私たち人間は自然の中の一員であることを知り、自然と調和し、心やすらかに生きることに気づいた時こそ、ほんとうに健やかで安らかないのちが、そこに待っているように思います。

 

 

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