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竹炭の臨床応用およびその考察

日本歯科東洋医学会誌第16巻第1号別刷
(1997年6月10日発行)

 

[1]はじめに

 最近、木炭が防臭、吸湿、浄水、遠赤外線作用などでさまざまな方向から注目されている。木炭は雑木(ナラ、クヌギほか)を蒸し焼きにしたものだが、木炭に類似のものに竹(孟宗竹など)を蒸し焼きにした竹炭がある。これらの炭を手に持つと温かい感じがし、しばらくすると指先が、ジンジンするような気感を持つものすらある。今回、これらの炭のうち、特に気感の優れた竹炭を臨床に使用し、また脳波との関連も検証し、その結果を考察し報告する。

 木炭は主にナラ、クヌギ、カシなどを400〜1,000度(摂氏)にて炭化したものであり、竹炭は孟宗竹を焼いて作られる。それらの構造は元の木や竹と同様であり無数の導管(パイプ)を持ち、縦横に連なる大小の孔から成り立っている。その孔の太さ、構造は樹種により多少異なるが竹炭の構造を示す顕微鏡写真が写真の1〜3である。このような竹炭(木炭)は多孔体としての特徴を持つこととなる。木炭1g当たりの内部表面積は300m2にも及ぶといわれ、炭の持つ吸着作用はこれら内部の広い表面積によるものであり、防臭作用や水・空気の浄化作用、吸湿作用などを持つことがすでに知られている。炭内は、焼かれた直後は無菌状態だが、しばらくするとその内部には多数の微生物が常在するようになり、広い微生物膜を形成するようになる。もっとも炭内にはほとんど有機物がないために、その厳しい環境内で互い共生できる微生物のみが常在することとなり、独特の共生関係を作っているといわれている(図1)。

 筆者が炭を臨床に使用したのは、その独特の気感によるためである。
  炭以外にも、独自で強力な気感を持つ物はある。しかし今回、どこでも、誰でも、安価に入手できる炭(竹炭)を使用した。使用した竹炭は、四国産の孟宗竹であり、1,000度(摂氏)付近で炭化したものである。

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[2]実験<1>

1.実験方法

1.5×4cmほどの竹炭を使用した(写真4)。写真右側2本が未使用の竹炭、臨床実験に用いる竹炭は角を丸め鋭角部をなだらかな形に修正し、肌との感触を良くするように仕上げた(写真4の左2本)。この竹炭にて患者の体の各部を軽くマッサージするようになでていく。これにより患者の疼痛の変化、体の変化がどう出るか観察する。最初は術者(験者)が誘導しながら2〜3分行い、後は患者自身の手により15分程度なでていく(軽くマッサージする)。

マッサージ部:
1)手の示指から肘にかけて大腸経に沿ったライン(商陽、二間、三間、合谷〜手三里、曲池)。
2)強い硬結の見られる頸肩部(肩井、天りょう、天柱など)。
3)疼痛を伴う患部周辺(写真5〜7)。
1)〜3)を順次軽くマッサージするようになでていく。

2.被験者

  口腔内または関連部位に愁訴を持つ患者18人について前述の竹炭マッサージを行い、マッサージ前後の変化を観察する。

愁訴の内訳:
1)歯周病での疼痛7人
2)抜歯後疼痛4人
3)根管治療時の疼痛2人
4)TMD2人
5)その他3人

3.評価法

  愁訴内容の変化は患者の申告および周辺状況の変化から判断した。また竹炭マッサージにより、手が温かくなるという効果がかなり見られたので、この点についても結果を表に記した。手の温かさの判定は験者および被験者の手指感覚により判定した。

判定基準:
++:著しい改善あり
+ :改善はあるが顕著ではない  
± :わずかに改善あり
− :改善なし

4.結果

  表1および図2に示す、著効、改善、わずかに改善を含めると、口腔内愁訴改善は66.7%、手が温かくなるのは77.7%に効果が見られた。被験者数も少なく、対照実験も行われていないので、この実験だけで結果を論じるのはやや乱暴であるが、竹炭マッサージにより、体に何らかの変化が起きていることがうかがえる。

  ただ患者(被験者)と接していて、強く感じたこととして、著効を奏している症例は患者も熱心に説明に聞き入り、自分で行う竹炭マッサージも無心に行っている。逆に無効の例では、患者が、無関心な表情を示したり、本気でマッサージを行っていない傾向があった。このようなことから、より客観的な結果を論ずるためには、マッサージの回数を定めることに加え、ダミー(偽の)竹炭によるマッサージや、患者の真剣度を数値化して評価してみるような比較対照実験が望まれる。

  しかしながら、患者に事前に何も伝えていないにもかかわらず「手が温まる」という反応が共通していることは実験結果として非常に興味深い。特に冷え性の女性は、手が温まる傾向が強く口腔関連症状の改善も多く見られた。顕効の例では、実験前は水仕事の直後のように冷たかった手がマッサージ後はポカポカとして験者の手よりも温かくなっていた。
  口腔内愁訴(疼痛)の改善に関しては鋭く強い痛みの方が改善の割合が多く、鈍く曖昧な痛みには効きにくかった。
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[3]実験<2>

1.実験方法

  竹炭による体表マッサージと脳波との関連を調べてみる。実験では脳力開発研究所のブレインマシンインターフェイス(BMI)脳波測定装置を使用し、臨床実験(実験1)で行ったのと同様な竹炭による体表マッサージを行い、その前後での脳波測定を行う(図3写真8)。

  ただし脳波は被験者の緊張度、気遣い、先入観などがきわめて大きく影響するので、試行錯誤の結果、これらの影響が最も少なかった10歳少年を被験者とした。(写真9)。

2.測定法

  電極は左右の額2点と、左耳珠1点の計3点をとる。右額がアース、左額とを耳珠の電位差を脳波として計測している。この脳波を高速フーリエ変換して各脳波を表示する。
  計測時間は5分間。最初の1分(Before)安静、3分間(During)が竹炭マッサージ中、後の1分は(After)が安静となる。実験中は被験者は両眼を閉じ、自然な呼吸を行う。測定は1クール5分を6回行い、その6回のなかでEMG(筋電図)およびβ波の活動が一貫して低位で安定している結果を採用した。EMGおよびβ波が安定している状態では、被験者の心、体の緊張が低くなっており、安定した状態となっている。この状態の方が他の外来性の刺激(ノイズ)に妨げられることが少なく、炭と脳波の関連が出やすいと考えたからだ。

3.結果

  優勢脳波の比較および脳波の変化を図4表2表3に示した
  脳波比較グラフおよび脳波比較表からわかるとおり、マッサージ中は緊張状態で現れるといわれるβ波は活動を低下させる。そしてマッサージ終了とともに、ほぼマッサージ前の状態に戻る。

  α波のうち最も脳活動にとって大きな働きをするといわれるMidα波はマッサージ中その割合を大きく増やした。またα波のなかでもβ波に近いFast α波はマッサージ中さらにマッサージ後に大きくその割合を減じている。

  一方α波のうちθ波に近いSlowα波はマッサージ中はややその割合を減じたが、マッサージ後は増加する。さらに低周波数脳波のθ波はマッサージ中、後と順次その割合を増加させている。
  また脳波状態の評価は、Midα波に重点を置いた数式である。

評価値の数式

  その結果、その評価値は、マッサージ中(During)が180/300と最も高く、次いでマッサージ後の(After)が169/300、最も低いのがマッサージ前(Before) の155/300となっている。これらのことから、竹炭マッサージにより高帯域脳波(β波、fastα波)は減少、低帯域のMidα波、Slow α波、θ波が増加する。特に低帯域θ波になるとその増加の場合は大きい。この傾向はマッサージ後も見られる。
  結果として竹炭マッサージにより、低帯域の脳波が優勢になることがわかる。
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[4]考察

 竹炭による体表マッサージは以下の効果があった。

  1. マッサージ部の体温を上昇させ、それは関連経路に沿ってもその傾向が見られる。さらにそれが全身へ波及する者もいる。
  2. 鎮痛効果が見られる。特に鋭く強い痛みに対し有効だった。
  3. 特に冷え性の女性にその効果が現れやすい。
  4. 単に温感、鎮痛だけでなく、「腕、肩が軽くなった」「体の動きがよくなった」さらには「数年来動かなかった慢性関節リウマチの手指が動いた」という者もいた。
  5. 脳波を低周波数へ誘導し、Midα波、θ波の割合が増加する。
  6. 筆者の気感では、マッサージ前には患者の指先から冷たくピリピリしたエネルギーを感じていたものが、マッサージ後には温かく柔らかな気感に変わってきた。

 これらの機序を考えてみると、次のような要素の関連が推察できる。

1.炭の遠赤外線放射
炭の遠赤外線は赤外線のうち波長がより長い部分を指し、
  1)温熱効果が強い
  2)浸透性が強く、深部まで到達しやすい
  3)有機質への吸水性がとても良く、生体にも吸収されやすい
などの効果が指摘されている。これらはどれも体温上昇には有効に作用する。もっとも今回使用した竹炭が、室温または体温程度の温度でどの程度の遠赤外線を放射しているのかは不明であり、実際のところ、あの小さな竹炭の遠赤外線による物理的温熱効果のみであれだけ体温が上昇したとは考えにくい。むしろ、放射されている遠赤外線量は微量だろうが、3)の高吸収性の言葉を換えれば、生体エネルギー(気?)と炭の持つ波長がうまく共鳴して大きな発熱効果をもたらしているのではないかとと感じている。

2.炭の脳波低周波誘導作用
 実験2で示されるとおり、脳波を低周波数化する働きが見られる。清水の報告にもあるとおり、炭や各種材料のなかには脳波をθ波に誘導するものがあり、それらは「気のグッズ」として使用されることもある。つまり「気のグッズ」により、脳波も誘導され、気の流れを良くし、気功訓練や健康増進に役立つというというものである。実際に脳波が低帯域化すると、自律神経は副交感神経支配となり、免疫力も増強させる。脳内モルヒネの分泌も促され、体は異常部の治癒に向けて大きく働き出すと考えられる。

3.炭の持つマイナスイオンの作用
 炭からはマイナスイオンが放出されており、周囲をマイナスイオン化するといわれている。こうした還元力は人の体に対し、鎮静的に作用し、鎮痛、催眠、鎮咳、制汗、食欲亢進、血圧降下、疲労回復などの効果があるとされている。こうした還元作用はトルマリン(電気石)にも類似のものであり、福岡らによるトルマリンファイバーの報告は炭の働きを連想する。

4.炭内の無数の微生物の持つエネルギー波動
 炭のなかは多くの空洞と孔があり、そこには無数の微生物が住みついている。これらはそこで総体として調和された生命エネルギーを発しており、ちょうどEM(Effective Microorganisms)などで見られるような微生物群としてのエネルギー波動を持つのではないかと推察する。もっとも、こうした概念は、現代医学的にも東洋医学的にも、未解明の部分であり、純粋な推論の域を出ない。

5.炭の電磁波遮蔽効果
 私たちの身のまわりには種々の電気製品があり、それらからはマイクロ波と呼ばれる電磁波が放出されている。日常歯科臨床においても私たちの使用する機器の多くは電気で動いており、特に患者さんが横たわるチェアの横のユニット部からはかなりのマイクロ波が放出されている。健常者では何の変化をももたらさないようなマイクロ波でも、病弱者やその病巣部に対してはかなり有害に作用しているかもしれない。病巣部や病的経路に対し炭を接することで、電磁波の悪影響を減少させたのかもしれない。

6.気の流れを誘導する
 実験1と2で見られる効果は、概念的には、正に「気の流れの改善」によるといえるだろう。
  前述したとおり、今回使用した竹炭は非常に優れた気感を持ち、筆者の自己経験でも炭を使用すると、気の流れが良くなるように感ずる。今回、経路の虚実などは測定していないので何ともいえないが、AMIなどで測定ができれば、非常に興味深い結果が得られるだろうと感じている。

7.炭の持つ微小フラクタル構造
 炭の電子顕微鏡写真からもわかるとおり、炭の断面は6角形の構造がいつも繰り返されている。もちろん数学的には正確な6角形ではなく大きさ、方向とも、種々さまざまであるが、類似の構造が数千、数万と繰り返されている。図形の持つエネルギー効果は、科学的には未解明だが、実際の気功の場や瞑想の場では、採り入れられている例が多い。 
  こうした微小図形のフラクタル構造により、気などのエネルギーが集められ、炭が「気のレンズ」のような働きをしているのではないだろうか。

8.プラシボ効果(意識エネルギー効果)
 プラシボ効果というと、現代科学では、実験の不正確な部分、客観性に欠く部分という印象が強い。確かに科学的客観性、再現性を増すためには、プラシボ効果はマイナス要素とも考えられる。
  しかし「プラシボ効果」は言葉を換えれば「思い込み効果]、さらにいえば「意識エネルギー効果」ともいうことができる。

 今回の実験<1>では、この意識エネルギー効果が影響しているように思われる。前述したように患者側の取り組みの熱意と、その効果の量に相関が見られることや、気功など気の流れには本人の意識状態が、きわめて関連することがわかっているからだ。

  より客観性を高めるには、この意識エネルギー効果に的を絞った対照実験を繰り返すと興味深いと思われる。たとえば竹炭のダミーを使用してみるとか、異なる事前情報を患者に支えてみて(たとえば「指が温かくなる」と「指が冷たくなる」など…)その結果がどうなるか調べてみるのもおもしろそうだ。残念ながら一介の開業医としての限界もあり、なかなか思うような検証ができないのが、今回の実験で、私自身、最も歯ゆく感じた所である。

 東洋医学の根元をなす概念は、肉体と感情を表裏一体と捕らえている。私たちの日々の臨床においても、身体と心は決して別のものではなく、一体であることはよく経験する。
  「癒しの本質は”心”である」とは経験豊かな臨床家からよく聞く言葉である。
  私たちが、単なる歯の削り屋で終わるか、それとも真の医療人になれるかは、正に病める者の心を癒せるかどうかにかかっている。

 

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[5]まとめ

 今回の実験では、図らずも真の癒しとは何だろうか改めて考えさせていただいた。
  実験1では、患者さんと私の意識状態が実験結果に反映しているように思われる。私のことを単なる歯の削り屋と考えている患者は、竹炭マッサージを指示されたとき「何だこれは…」という顔をする。私も「治っても治らなくてもどっちでもいいや…」と思ってしまう。そしてマッサージ効果はあまりなかった。
  私のことを信頼しきっている患者さんは、食い入るように私の説明を聞く。私も何とか治ってほしいと心底願う。そういう患者さんは痛みも軽減し、体も温まり、リウマチで動かなかった手まで動いてしまう。
  もちろん炭自体に気を集めたり、その通りを良くする力があることは間違いないと考えるが、それを癒しの力としてどこまでパワーアップするかは、正に心の力によるのだろう。

 稿を終えるにあたり、ご指導、アドバイスをいただいた皆様方、特に竹炭の電子顕微鏡写真を快く提供していただいた、京都大学木質科学研究所の野村隆哉先生、資料をお貸しいただいた静岡大学の木村元彦先生に深謝したします。

 

文献

 1)炭やきの会編:炭と木酢液、家の光協会、東京、1996
  2)大槻 彰:驚異の木炭パワー、日東書院、東京,1996
  3)福岡 明:歯科臨床に即応用できるペインコントロールとしてのツボ刺激療法、日本歯科評論社、東京、1985
  4)福岡 明:医者が書いた気の本、プレジデント社、東京、1991
  5)加藤 正、他:気功法と生理・心理的研究、人体科学、1:29〜38,1992
  6)志賀一雅:潜在能力発揮術、ビジネス社、東京、1995
  7)志賀一雅:すごい集中力で頭を良くする本、中経出版、東京、1992
  8)Kazumasa,S.:ConditionedReflexAlphaWavesbyBiofeedbackfor theTreatmentofStressDisorder,EasternandWasternPerspectives, 629〜634,Springer,Tokyo,1995
  9)矢山利彦:気の人間学、ビジネス社、東京、1995
10)福岡 明、他:トリマリンファイバーシートの歯科臨床における応用、日本歯科東洋医学会誌、14:34〜47、1995
11)清水英寿:臨床家のための気功学入門、日本歯科東洋医学会誌、15:119〜121,1996
12)田中 茂:蘇る生命EMX、綜合ユニコム、東京、1996
13)山野井 昇:マイナスイオン健康学、サンロード出版、東京、1996
14)天笠啓祐:電磁波の恐怖、晩聲社、東京、1996
15)田村享生:強度の顎関節症状および関連症状が食養と外気功により緩解した症例とその評価、日本歯科東洋医学会誌15:12〜17、1996
16)田村享生:現代医学と食養、Macrobiotic日本Cl協会,719:48〜53,1997


原著

竹炭の臨床応用およびその考察

田村歯科医 田村 享生

Clinical application of Bamboo charcoal

Tamura Dental Clinic, Shizuoka
Kyosei Tamura

Abstract

Massage using Bamboo charcoal on the body surface cause some clinical effects.(1)to warm the patient's body,(2)to reduce pain, (3)to improve homeostasis,(4)to reduce the frequency of brain waves.
The present study shows that Bamboo charcoal massage is important to study Qui.

Key words : Bamboo charcoal, Qui, α wave, Mind energy effect

 

 

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